さて本題ですが、まずは、x86CPU搭載のIBM PC/AT互換機という前提で手持ちの古いPC・低(ロー)スペックマシン用の選択肢には、どういったOSがあるのかについて考えてみましょう。
例えば、今となっては、低スペックとなってしまった現役PCにプリインストール済みのWindows 3.0/3.1/95/98/98se/MEはとうにサポート期限も切れ、ネットにつながず、スタンドアローンとしておいてはあるけど、起動させることもなく、ただひたすら、佇んでいるとか、もうすぐセキュリティアップデートサポート期限が切れるけど、どうしようという状態にあるWindows XP、更に数年すれば、Vistaが、更に7が、8/8.1が、とインターネットを利用する前提でPCを使い続ける限り、特にWindowsのような商用プロプライエタリ製品を使い続ける限り、常についてまわることです。
その状況を踏まえてそれでもWindows一筋に使い続けるのか、視点を変えて他のOSを検討、採用してみるのか、併用するのかなど、実際には選択の余地があり、ルック&フィールといい、使い勝手といい、取り扱いやすさ、拡張性といい、近年、その障壁は皆無と言えるほど、なくなってきていますし、Linux/PC-UNIX/BSD系OSの多くは、オープンソースであり、個別のサポートはないものの、ドキュメントやインターネット上の情報は概して豊富、どうしてもという場合でも任意のQ&Aサイトなどで質問すれば、たいていの場合、適切な回答をもらえるでしょうし、インターネットからダウンロードして利用する分には、無料です。
いざ検討するに当たっては、最も重要と言うか大前提となる点として「このPCであのOSは動くのか?」ということがあります。
そのおおまかな目安となるのが、PC(CPUやOS)は32ビット版か64ビット版か、CPUが何か、クロック周波数がどのくらいか、コアは、シングルコアかマルチコアか、PCのRAM(メモリ・主記憶装置)やキャッシュ(cache・一時記憶装置)、ハードディスクの空き容量がどの程度あるのかといったことです。
32ビット版と64ビット版かについては、たいていのOSは、両方とも提供しているか、併用の場合が多いので、両方提供されている場合は、手持ちのPCがどちらかを調べてそれに合ったものを選択するだけです。
ちなみにその歴史的背景から32ビット版は、x86/IA-32/AMD-32などと、64ビット版は、x64/x86_64/IA-64/AMD-64などと表記される場合があり、また、Intel x86(IA-32) CPUのバージョンの通称としてi386、i486、i586、i686などがあり、[i]の後の先頭の数字がいろいろあることからその部分を[x]としてx86と呼ばれるようになり、他方、IntelとAMDを区別する為にIA-32/IA-64、AMD-32/AMD-64などと区別して呼ばれるケースも出てきました。
CPUが何かについては、一般に市販されているPCを購入するユーザーにとっては、ほぼ、Intel製かAMD製と考えてよいでしょうし、古いPCならIntel製の可能性が高いでしょう。
基本的にWindowsは、IBM PC/AT互換機でしか、Mac OS/Mac OS X/OS Xは、後にPowerPCだけでなく、Intel CPUにも対応したものの、Macintosh上でしか起動しませんが、Linux/BSD/PC-UNIX系OSは、複数のCPU搭載のPCに幅広く移植されることが多く、搭載できるPCの裾野は広くなっています。
歴史的背景からしてもWindowsが動作するPC(IBM PC/AT互換機)は、PC市場の主流であり、移植対象から外す理由はありませんから、少なくともWindowsが動作するPCなら、PC-UNIXはともかく、たいていのLinux/BSDは、動く可能性が限りなく高いと考えられます。
ただ、CPUメーカーの違いから、また、同じIntel製CPUでもCeleron、Pentium、Xeon、Core 2、Core iなど種類があり、その種類によっては適合するか否かの対応が分かれる場合があります。
ちなみにLinux/BSD/PC-UNIX系OSは、ハードディスクにインストールしなくてもBD/CD/DVD/USBメモリなどに入れて各種ドライブからLiveメディアとして起動させることができるケースも多くなっています。
Liveメディアを起動させてみることは、そのPCでそのOSが動作するか否かという確認にもなる手軽で便利な方法ですし、Liveメディアに焼いたり、インストールする前のISOイメージファイル段階で仮想化ソフトウェアを使って動作確認することでLiveメディアとしての構成自体がちゃんとできているかの確認もでき、仮想マシン上からも物理マシンの周辺機器にアクセスできることから物理メディアに焼いたり、インストールすることもできますし、そのまま使い続けてそのOSに慣れたり、他と比較検討することだってできます。
次にCPUのコアについてですが、コアとはCPUもしくは、その機能の集合のことで1CPU=1Core(コア)、また、小型が進んだこともあって1つの物理的なCPU内に2つ分内蔵することができるようになったことで従来と同じマザーボード上のスペースに2コア(デュアルコア/Dual Core)を搭載できることで真の並列処理が可能となりました。
一方、マルチスレッディングといわれる技術によって1つのCPU(、または、その機能の集合)を論理的に2つあるように見せる技術が開発され、それぞれをスレッドと呼び、1つを2つに見せる場合、スレッドが2つあるということになりますが、時にスレッドではなく、コアと表現される場合もあります。
近年、マザーボード上のスペースの関係も相まってデュアルコアCPUにマルチスレッディング機能を盛り込むことで論理的にCPU4つ分(概念的には、2CPU+2スレッド、数学的には、2CPU*2スレッド)利用できるようにしたものを2CPU 4コア(クアッドコア/Quad Core)、物理的なデュアルコアCPU2つ、1チップに2つ内蔵されているので機能的には計4つ、マルチスレッディング機能で論理的には計8つ分(概念的には、4CPU+4スレッド、数学的には、4CPU*2スレッド)として利用できるようにしたものを4CPU 8コア(オクタルコア/Octal Core)などと呼ぶようになりました。
つまり、チップとしてではなく機能における物理的な数については、CPUの数、論理的な数を含む場合、コアの数として区別することがあります。
これに対して従前の1つのCPU機能を搭載した1つのCPUチップをシングルコアと呼ぶようになりました。
1990年代や2000年代初頭に入手した市販のWindows 3.0/3.1/95/98/98SE/ME/2000/XPプリインストールPCなどならCPUは、基本的にシングルコアと考えてよいでしょうし、その頃からあったLinux/BSD/PC-UNIX系OSなら、最新版がマルチコア専用になっていなければ、また、近年、発足し、マルチコア(複数コア)前提にリリースされたOSでもない限り、つまり、システム要件としてマルチコアを謳っていない限りは、物理マシンについては、シングルコアで大丈夫というか、コア数を気にする必要はありません。
ただ、仮想化ソフトウェアを利用するマシンは、少なくともデュアルコアCPUである必要がありますし、32ビットマシンならメモリ1GB以上、できれば、2GB、4GB(IA-32で4GBめいっぱい使う為にはPAE/Physical Address Extension/物理アドレス拡張機能付きCPU)、64ビットマシンなら、最小2GB、できれば、4GB、8GB、16GB。。。と言ってしまうとなんでもそうなってしまいますが、あればあるに越したことはありません。
キャッシュも容量が多いに越したことはないものの、CPU性能やRAM容量が似通った複数の仕様の選択基準としては重要ですが、ここでいう選別という意味では、それほど重要ではありません。
ハードディスクの空き容量がどの程度必要かについても、各OSのシステム要件として公開されているのが一般的です。
比較的古いPC用にOSの選定をする場合、ここまでの前提や何となくこんな感じだろうというこれに相当する経験則や憶測を以って、あとは、RAM容量がどのくらい必要かが、最終的な焦点であり、判断基準になることが多いものと思われます。
RAM容量についても、やはり、各OSのシステム要件として公開されているのが一般的ですが、最終判断をするにあたっては、往々にして「一覧や他との比較が、あるとよいのにな。。。」と思うもの。
そこで当サイトでは、各種仮想化ソフトウェアで作成した仮想マシン上での検証ではありますが、任意のあらゆるOSの起動確認を行い、RAM(メモリ)量によってどんなOSが起動し、起動直後、操作性に違和感がない、または、多少、もっさり感はあっても実用に耐え得る範囲か否かといった点に注目して試してみました。
尚、当サイト検証では、基本的にCUI、または、GUIの場合には、当該ウィンドウマネージャやデスクトップ環境のスムースな起動やGUIの場合、メニュー操作がスムースか否か程度の体感を基にしており、追加含め、利用するアプリケーションが、このスペック以上を求めるケースは十分にあり得ること、物理マシンと仮想マシンなど環境における差が生じる可能性については、別途、考慮が必要です。
例えば、当サイト検証上VirtualBox、QEMU、VMware PlayerでRAMがどのくらい必要だったかを示していますが、これは、これら仮想化ソフトウェアで仮想マシンを作成する(した)際に指定した設定値に過ぎず、これら仮想化ソフトウェア自体もRAMを消費する為、特に比較的古く、低スペックの物理マシンへの検討をする場合、ある意味、嬉しい誤算となる可能性があります。
改めてRAMに注目して調べてみたところ、VirtualBox 4.2.12では、約10MB、QEMU/QtEmu 1.0.5では、約14MB、VMware Player 3.1.6では、約17MBほど消費しているようでWindowsではシステム要件と見比べるとLinux/BSDでは、CUIは未確認ですが、サンプルとしたディストロ(Virtualbox:ArchBang/QEMU:NetBSD)のデスクトップ環境上のConky情報によると仮想マシン内では、指定値からこれを差し引いたRAM容量を総量として動作しているようです。
但し、ディスク上にスワップ領域を作成した場合とそうでない場合では、RAM使用量も体感上も異なってくる可能性がある点は、考慮が必要でしょう。