ここでは、仮想マシンを作成・実行可能な仮想化ソフトウェアの1つであるVirtualBoxのゲストOSとしてWindows 95をインストールする方法について記します。
尚、PC自体は大昔壊れて廃棄せざるを得なくなったが、起動ディスク、インストールディスク(いわゆるOEM版)を大切に保管(使い道がないものの捨てるには惜しまれ放置)しており、仮想マシンの登場により、使途の光が射したことから、これ幸いとばかりにVirtualBoxで作成した仮想マシンにゲストOSとして再生・再起させるという想定であるものとします。
このような場合、起動ディスクからインストールCDを読み込み、さらっとインストール完了。。。と言いたいところですが、内蔵FDDを持つマシンがなくなりつつあり、内蔵CD/DVDドライブを持たないマシンもあるような時代にVirtualBoxにWindows 95をインストールする場合、インストール自体は、すごく簡単なはずなのに、簡単なことが簡単にいかないことがあります。
インストール時には、Windows 95の場合、プロダクトキーではなく、プロダクトID(レジストリに登録、もしくはPC本体側面や裏側、CD/DVDケースやカバーに貼付されたシールに記載)が必要になります。
尚、Windows 95用のインストールCDなどのインストールメディアがない場合でも、きっとWindows 98SEのインストールと同様にHDDからインストールディスクイメージを作成することもできるでしょう。
VirtualBoxの同バージョン、VMware Player 3.1.6とVirtual PC 2007上でのWin 95の動作を比較するとVirtualBox、VMware Player 3.1.6でも実用に堪えないというほどではありませんが、グラフィックアダプタの違いからか、明らかにVirtual PC 2007の方がマウス操作時やフォルダが開く際などの動きは滑らかです。
つまり、Virtual PC 2007での操作感を知らなければ、フォルダやメニューの開き具合が微妙に硬いVirtualBoxでも、他方、フォルダやメニューの開き具合は割と滑らかですが、マウス速度を調整しても若干マウスの動作がもっさりしているVMware Playerでも十分満足できる範囲といった感じです。
内蔵FDDがないPCが主流ですが、これがなくてもUSB接続FDD、それよりも、仮想FDDが便利、フリーソフトウェアの中では、その名もVirtual Floppy Drive(VFD)が広く使われているようです(、尚、95はサポート対象外とはいえ、対象となる作業マシン上で利用すると便利です)。
ただ、当該マシンに限らず、仮想FDDしかない場合、せっかく手許にある起動ディスクが宝の持ち腐れとなってしまいます。
この場合、新品はないでしょうから(信頼のおける先から)中古で外付けFDDを購入するとか、親類・友人・知人等で物理的なFDDを利用可能なPCを持っている人がいれば、PCを借りるなりして単なるコピーではなく、ディスクイメージとして作成し、USBメモリなどにコピーさせてもらうか、インターネット上から・・・、または、ディスクフォーマット可能なソフトウェアなどでFAT12フォーマットした上でDR DOSやFreeDOSを使うといった遠回りな作業が必要になります。
尚、MS-DOS/Windowsの製造元であるMicrosoft社では、起動ディスクのディスクイメージはインターネット上に公開していないようです。
Windows 95のインストールは、(CDブートできなかった当初)インストールCDの他に、このCDを起動する為のMS-DOSの入ったフロッピーディスクを起動ディスクとして使用していました。
ただ、MS-DOSやPC DOSは有償OSであり、既に販売終了となっている為、入手できませんが、MS-DOS販売・サポート終了後の代替を意図したオープンソースのFreeDOSを利用することもできますし、他にも互換性を考慮したDR DOS/DR-DOS、更にこれらの派生などを利用することもできるようです。
内蔵CD/DVDがないPCも増えていますが、これがなくてもUSB接続CD/DVDもありますし、isoなどディスクイメージがあるならCD/DVDに焼かなくても仮想CD/DVDドライブを作成できるソフトウェアが便利ですし、VirtualBoxは、ディスクイメージもメディアとして利用可能です。
VirtualBoxでMS-DOS起動ディスクを使ってWindows 95をインストールする場合は、下記の要領で行います。
これでインストールは終了ですが、画面が真っ黒になったりすることもあるので、以下、注意点を追記します。
これら以外で簡単にいかないとすれば、それは、きっとITリテラシが高いがために、利用経験者であるがためにチャレンジ精神も旺盛で脳をフル回転させ、豊富な知識を機転を利かせて使用してしまうことや、経験からくる「こうなるはずである」という思い込みが壁になるからではないかと感じます。
例えば、XPやVistaでAドライブを[フォーマット]する際の[MS-DOS用の起動ディスクを作成する]オプションを見て「よし、これはWindows 95を含む9x系や3.1系、MEの起動ディスクに使える(はず)」と思い込まないことです。
Windows 95の起動ディスクは、Windows 95、または、98/98SE/MEで作成したモノを使わないと、まず間違いなくハマります。
ちなみに初期のWindows 95のファイルシステムは16ビット、Windows 95 OSR2含む以降は、32ビットです。
Windows 3.x系/Windows 9系/MEではCOMMAND.COMがMS-DOS、または、MS-DOSモード(、以降、CMD.EXEがある場合、それはコマンドプロンプト)が使われますが、Win 95の起動ディスク内においては、COMMAND.COMが、認識できるファイルが必要、逆に言うとその他のファイルがCOMMAND.COM(MS-DOS)のバージョンにマッチしている必要があります。
つまり、いろいろなWindowsバージョンで作った起動ディスクからファイルをかき集めて継ぎはぎしても、その継ぎはぎ具合によって例えば、FDISKやFORMATが無効なコマンドとされたり、MS-DOSのバージョンが異なるといったエラーが表示されることがあります。
だからと言ってUNIX/Linuxのtouchコマンドなどでタイムスタンプを同じにすれば・・・なんて方法はダメです。
よってCD-ROMドライバやドライブを読み込むMSCDEX.EXEなど直接MS-DOSバージョンと関係ないファイルを除き、インストールCDなど基本的に同じ場所から取得しましょう。
Windows 98/98SEで起動ディスクを作成するとフロッピーが2枚になりますが、相応に整理すれば、1.44MBに収まり、1枚にできます(し、ディスクイメージに入れ込むことさえも可能です)。
起動ディスク内のファイル群は一様ではなく、いろんなバリエーションがあり得ますし、あってもインストールには無関係のもの、使ってないものも含まれる場合があり、あるファイル群を見て全て必要であると思いこまないように注意が必要です。(MS-DOS起動ディスクのファイル構成)
これは、Windows 95の起動ディスクにWindows 95のCDから持ってきたEMM386.EXE、Windows 98SEのCDから持ってきたMSCDEX.EXEとOAKCDROM.SYS、HIMEM.SYS、新規作成のAUTOEXEC.BATを追加、既存のCONFIG.SYSに追記したもので、サイズ調整のため、これらを入れるに当たってATTRIB.EXE、DEBUG.EXE、DRVSPACE.BIN、EDIT.EXE、REGEDIT.EXEを不要と判断した中から任意に選んで削除したもので、インストールするだけなら他にも不要なファイルがあります。
尚、Windowsでは、ファイルエクスプローラの[表示]や[ツール]メニューの[設定]や[フォルダオプション]から[表示]タブを選択し、[全てのファイルを表示する]にチェック、[保護されたオペレーティングシステムのファイルを表示しない(推奨)]のチェックを外して[適用][OK]とすること、しないとAUTOEXEC.BATやCONFIG.SYS、IO.SYS、MSDOS.SYS等々のファイルが表示されません。
ちなみにXPやVistaで作成した起動ディスクもFATフォーマットされるのでディスク自体は使えますが、FDISKやFORMAT、日本語環境用ファイルがないだけでなく、そこにあるファイルはWin 95を起動する際には使えませんからファイル名が同じだろうと何だろうと一切忘れて、ディスクを使うならファイルを総入れ替えしましょう。
setupする前に作成した仮想マシンの領域(パーティション)を確保し、初期のWin 95ではファイルシステムをFAT16、Win 95 OSR2ではFAT32(/FAT16)でフォーマットする必要があります。
MS-DOS起動ディスクを使ってWindows 95をインストールする場合は、FDISK.EXEでパーティションを作成・確保、FORMAT.COMでファイルシステムを設定してからsetup.exeでWindows 95をインストールするという手順になります。
MS-DOS自体にはCD-ROMへのアクセス方法がない為、多くの場合、OAKCDROM.SYSとMSCDEX.EXEが有用ですが、OAKCDROM.SYSは、ATAPI(IDE)接続CD-ROMドライブ用の汎用CD-ROMドライバであるものの決して万能というわけではないので他のドライバが適している場合もありますし、ましてATAPI(IDE)接続ではなく、SCSI接続なら、それ用のドライバが必要となります。
MS-DOSからCD-ROMへアクセスする際にOAKCDROM.SYSなどのCD-ROMドライバとMSCDEX.EXEを使う場合は、AUTOEXEC.BATとCONFIG.SYSに追記する必要があります。
rem で始まる行は、コメント行ですから、なくても可です。
ネット上の情報の多くでEMM386.EXE行のRAMをNOEMSなどに変更するというアイデアがあったりしますが、それは、起動ディスクのconfig.sysの話ではなく、後述の画面真っ黒への対処法の通り、インストールが完了した後、仮想マシンのCドライブにあるconfig.sysで修正が必要という話で(あってそこを間違うと試行錯誤した結果として起動ディスク上のconfig.sysにrem行が多発する原因になりま)す。
/D:スイッチの値、この例では CD001 は何でもOKですが、AUTOEXEC.BATのMSCDEX.EXEとONFIG.SYSのCD-ROMドライバ(OAKCDROM.SYS)の/D:スイッチの値は同じ値にしなければいけません。
/L:スイッチの値、この例では E は、インストールCD(、またはディスクイメージ)の入った(仮想)CD-ROMドライブを指し、使っているドライブレターと違うとか、他のドライブレターが好きとか、既存のドライブとバッティングするとか、LASTDRIVEが未指定、または、Pより前までしか指定していない場合などには環境に応じて書き換える必要があります。
CD-ROMドライバでは、当然ながら仮想CD/DVDドライブにもアクセスできますからCD/DVDメディアに焼かなくてもisoディスクイメージそのままで利用することも可能です。
一通りインストールが終わり、再起動すると画面が真っ黒になることがありますが、それが正常で、その後の対処方法があります。
これでWindows 95が正常に起動するはずですが、万一、画面が乱れたりする場合には、ちょっと手間ですが、再インストールします。
その際に[標準設定]ではなく[カスタム設定]でアプリケーションを全て選択して下さい。
どうやら、これは、アプリケーションと主に.vxdファイルがセットでインストールされる必要があるようで.vxdファイルがあるのにアプリケーションがインストールされていないとか、この逆のケースなどが画面が乱れる原因になるようです。
尚、画面が乱れる原因が、このように何らかのファイルがないことを示すエラー画面だとすれば、[Enter]キーを1回または、数回押していけば、Windows 95が起動するのですが、画面が乱れて不足するファイルがわからないと対処のしようがなく起動する度に同じことをしなくてはならず、他に手があれば別ですが、幸いWindows 95のインストールは10~15分程度と短時間でできますし、フルインストールしても容量もそれほどでもないので再インストール時に[カスタム設定]で全て選択するのが手っ取り早いと思います。
当初からWin 95では最初の起動時に画面が真っ黒くなるという認識があってもXPや他のOSも同時にあれこれやっていたりして、いざ、そうした状況になってみるとそれを忘れてインストールがうまくいっていないんだと勝手に思い込み、10回じゃきかないほど[format c:]して再インストール、時に[fdisk]からやり直し、後述のEMM386のエラーが起因しているんじゃないかとネット情報を探しまくり、さんざんやってから「?!」と気づくと一気に力が抜けるのは、まず間違いありません。。。
起動ディスクで起動する際、"EMM386 not installed unable to set page frame base address"といったエラー表示やEMM386.EXEがインストールされなかったといったようなエラーメッセージに動じる必要は一切なく、画面が真っ黒になる際の対処法をとれば、仮にその後もエラー表示されたとしてもなんの問題もありません。
ちなみに起動ディスク(FDイメージ)上のconfig.sysでEMM386のdevice行をどう書き換えたところで真っ黒画面対処法のインストール済みCドライブ直下のconfig.sysに反映されるわけではありません。
ちなみにインストールが終わったら、仮想マシンのHDDにインストール済みということなので再起動する前にインストールに使ったFDやCD/DVD、もしくはそれらのディスクイメージはアンマウント(解放)しましょう。
少なくとも起動に使うブータブルメディア(、この例ではFD)は、そうしないと、また、セットアップが始まってしまいますから。
仮想マシンの起動設定の[ストレージ]もHDDを最優先するか、HDDだけを選択しておいてもよいでしょう。
当サイト検証ホストマシンスペックでもホストOSにも影響なく、Windows 95をクリーンインストールした直後は、(仮想マシンの)メモリは(最小)16MBでも十分軽快に動作しますから32MBも割り当てれば、多くのアプリケーションが動作するものと思われます。
尚、Windows 95のセキュリティサポートはとうに終了しているので仮想マシンのネットワーク設定でホストオンリーか、ネット接続しないようにしてインターネットやメールを一切せずに利用するのが賢明です。