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DSL(Digital Subscriber Line)回線とは?

DSL回線

DSL/Digital Subscriber Lineとは

 DSL/Digital Subscriber Lineとは「デジタル加入者回線/デジタル加入者線」の事を指し、ADSL/HDSL/IDSL/RADSL/SDSL/VDSL/VDSL2/VHDSL等々があり、xDSLと総称されることもあります。

 それぞれ特徴を活かした用途があり、日本では一般にADSL/Asymmetric DSL(非対称デジタル回線)やVDSL/(Very high bit-rate DSL、Very High Speed DSL / 高速デジタル回線) 方式が利用されています。

 VDSLはADSLよりも高速(高効率伝送)である一方、それぞれの性質からADSLは、おおむね8km以内、VDSLは、おおむね1km以内の中近距離で利用可能な回線方式です。

 このことから、ADSLは、電話収容局から実際に利用する居室までの実際の電線の距離として8km以内の範囲へのブロードバンドサービスとして、VDSLはその距離的な制約から光ファイバサービス等における集合住宅の建物内配線として利用されています。

ADSL回線とは

 ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line / 非対称デジタル回線)を中心にDSL、中でもADSLは電話回線を利用しつつそれまでのダイヤルアップに比しデータ転送量が大きく、光ファイバ網が幅広く構築されるまでの代替手段としてインターネットプロバイダがサービスを行っています。

 但し、情報家電といわれるような家庭にある、あらゆる家電製品がネットに接続するという状況にでもならない限りにおいて、PC1~2台でネット接続という程度であればADSLで十分というケースも少なくありません。

 帯域によってはISDNとバッティングする場合もあるようですが、ISDNの利用は減少の一途であり、ADSLや他の回線への移行が進んでいるので特に問題となることはないでしょう。

 尚、ADSL回線は、その性質上、「伝送損失」があり、この為、前述のおおむね8kmという実質距離的制約があり、一概にどこでも利用可能というわけではありません。

ADSLの電線経路距離・伝送損失と利用可否

 ADSLは電話回線を利用するので電話回線さえ通っていれば全国どこでも利用できそうに思いがちですが、実は、通信事業者(基本NTT)の「収容局/基地局」(受付窓口のあるNTT支店・支所という意味ではない)からの距離が8kmを越える場合などサービスを利用できないケースがあります。

 これは(併用または専用で)電話回線を利用するADSLでは、ケーブルテレビ回線、光ファイバ回線よりも低品質であり、距離があればあるほど品質が劣化する性質があり、その劣化度合いと影響を「伝送損失」と呼びますが、この伝送損失とインターネット利用時の回線品質とのバランスの限界が電線距離にしておおむね8kmとされているからです。

 尚、この場合の距離とは収容局(基地局)からの直線距離ではなく、収容局から利用住居までの電線の経路における実質距離です。

 この伝送損失は、ADSL回線速度にも影響し、例えば24Mというプランやコースでも実際には下りで最大2M前後、上り1M未満程度しか出ないことも珍しくありませんし、例えば、某所で24Mで契約しても下り最大2Mbps/上り1Mbps、某所では12M契約で下り最大5Mbps/上り1Mbpsというケースもザラです。

 このことは同じプランやコースでもその距離や伝送損失などによって実質速度は異なるということを意味し、更には集合住宅など共有回線を同時に使用する時間帯か否かなどによっても異なり、これらを以ってベストエフォートサービス(上限まで可能な限り提供する努力をするサービス/結果は環境に依存するところが大きいサービス/実際にやってみないとわからないサービス)と呼ばれます。

 屋内配線のルータ(またはモデム)からPCまで等における使用するケーブルの種類やケーブル長の調整、更に別途ルータやハブなどを使ってLANを構成している場合、その構成の見直しなどによって場合によっては回線速度を向上させる(通信上の損失を極力減らす)ことが可能な場合もありますが、ADSLにおいては利用する居室と収容局との物理的な距離が最も大きな差となって表れます。

 よってプロバイダやサービスを選ぶより前に後述のような予想回線速度を計測しておくことが重要で、これを行うことで見た目のサービスプラン上のスピードを以って、とにかく、より高速なプランという判断ではなく、予想速度から、より適切な回線速度のプランを選択することが可能になります。

 つまり、どこに住んでいても、より高速プランを選択しさえすればするほど、より高速通信が可能になるとは限らないということであり、高速プランを選択したとしても実質速度が思うように出ないならば、低速プランを選択する方が妥当且つ賢明なケースも多々あるということであり、また、同じプランであっても共有部分がある場合には、回線容量を分配するので同時に利用する時間帯は回線速度もそれに応じて低下するということです。

 ADSLサービスにおける回線速度は、当初1Mbps/5Mbps/8Mbps/12Mbps/24Mbps/50Mbps...と種類が豊富でしたが、昨今は12Mbps/50Mbpsの2種類に集約されてきているようです。

 ちなみにガスの自動検針器、ドアフォン等々で電話回線を利用するサービスは、同じく電話回線を利用するADSLに影響しますから、そうしたサービスを利用していて回線速度が遅かったり、不安定だったりする場合には、設置位置変更など対策を要するケースもあります。

ADSLサービスの種類と選択基準

 ADSL回線を検討する場合、NTT東日本/NTT西日本のフレッツサービスを利用したフレッツADSLと、イー・アクセス(旧アッカ含む)回線を利用したADSLサービスがあります。

 NTT東日本/NTT西日本/イー・アクセス(旧アッカ含む)にておよその距離を計測(NTTは自身の所有する電話番号における「線路距離長」「伝送損失」、eAccessは距離・伝送損失・ADSL予想速度を判定)するサービスがあります。

 同じ回線速度のサービスでも価格的には別途料金を要するNTTフレッツではなくイー・アクセス(旧アッカ含む)回線を利用したADSLサービスの方が圧倒的に安価です。

 NTTの戦略や価格体系やそのバランスなどの細かい話はさておき、フレッツの場合には1か所に複数回線を設置できる仕様ですが、(フレッツ光ではなく)フレッツADSLでは基本的に(特に個人契約の場合)1回線に限定されているようです。

 NTTフレッツを介した場合とイー・アクセスを介した場合の同一条件下における通信速度や通信品質を比較する術はありせんが、何れのケースにおいてもこれに関する不具合や不都合は聞いたことがありません。

 よって個人利用でADSLが1回線で良い場合においては、別途フレッツ料金が必要となるフレッツADSLよりもイー・アクセス回線を利用したADSLを選択するのが妥当でしょう。

 もちろんイー・アクセス回線のADSLが利用不可でフレッツADSLなら利用可とか、理由はともかく何が何でもフレッツがいいという場合は除きますが。

 尚、NTT系や、その他ホールセール(企業間における大量仕入れと大量販売による卸売り)を行っているプロバイダでは、たいていイー・アクセス回線のADSLサービスを提供していますが、KDDI(au)のADSLサービスは利用する回線がKDDI独自回線なのかNTT回線なのかイー・アクセス回線なのか不明でプランやコースも限られており、以前は遜色なかったものの昨今に至りADSLに関しては、どのプランも割高感は否めません。

 各プロバイダのホームページには多くの場合、回線サービスごとに郵便番号や電話番号から、その地域における利用可否を確認するサービスがあるので利用してみるといいでしょう。

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