PEとはPreinstallation Environmentの略称であり、Microsoft社には、Windows AIKで作成可能なWindows PEがありますが、フリーソフトウェアであるWinBuilderを使うとWindows PEよりも使い勝手の良いVistaPE(、追加プロジェクトにより7PE、以降も追加される可能性あり)を作成することができます。
PEは、常時利用するOSとしてではなく、BD/CD/DVD、USBメモリスティックなどによるLiveメディア、レスキューメディアや起動ディスク、また、ネットワーク経由のブートやインストールといった利用を想定する中で使用されるOSです。
WinBuilderで作成可能なVistaPEや7PEは、これらの機能に加え、CUIだけでなくGUIも利用でき、下記のような魅力的な特長が多々あります。
WinBuilderでは、有志による各プロジェクトがあり、Windowsバージョンなど用途に合わせて選択が可能となっており、それを含め、以下の手順で作成することができます。
但し、途中で何らかのエラーが出ると内容に関わらず、否応なく停止するので少なくともISOイメージができる前にエラーで停止した場合には、画面上で確認可能なログを見てエラーの対象プログラムを外すか、エラーを修正し、ビルドをやり直すことになります。
修復できない場合、他に選択可能なプロジェクトがあるなら、試してみるとよいでしょうし、必要なプロジェクトが一覧にはないけど実は、存在することがわかっている場合には、プロジェクト一覧横のサーバ追加アイコンからサーバ(プロジェクト)を追加すればOKです。
また、プロジェクトをダウンロードした後、左ペインでスクリプトファイルを選択すれば、多くのスクリプトでは右ペインで各種設定が可能となっているので少なくとも有効にするスクリプトについては、一通り眺めておくのが賢明で、例えば、見慣れたデスクトップ画面としたい(インストールDVDまたはISOをソースとしていてWindows Explorerを利用したい)場合には、[スタート]ボタン表示に関するものもあったりします。
尚、ISOイメージは、WinBuilder用フォルダ下に[ISO]フォルダが作成された後、[Source]タブで設定された名称の.isoファイルが作成される為、必要に応じて名称を変更することもできます。
Windows用パスには、インストール済みハードディスク内のシステムルートフォルダ(WINDOWSフォルダなど)を指定できる他、CD/DVDを挿入した物理ドライブ、または、ISOイメージをセットした仮想ドライブを指定することも可能であり、VistaPEであれば、評価版や製品版のVistaの他、カーネルが同じであるWindows Server 2008を、同様に7PEにおいてWindows 7であれば、Windows Server 2008 R2を元に作成することができます。
ちなみにWindows Server 2008 R2は、x64のみサポートされ、x86はサポートされていません。
但し、見慣れたWindowsデスクトップ画面(Shell名:Windows Explorer)を利用する場合は、製品版、または、評価版のブート可能なインストールメディア、もしくはインストール用ブータブルISOディスクイメージをソースとする必要があります。
GUIを楽しむためには、WinBuilderの左ペインにある[Shell]フォルダ内において予めデフォルト起動Shellを設定しておくことができますが、もし、設定しなかった(し忘れた)場合でも次のように切り替えることも可能です。
コマンドプロンプトをexit、もしくは、起動中のShellをログオフなどで抜け、当該Shellに戻る(本当にexitするか)否かのポップアップ画面で[No]や[いいえ]ボタンをクリックすることで[VistaPE Loader & Tools]という[Reboot/Shutdown]ボタン付きの小さなランチャ画面が表示されます。
コマンドプロンプト(CMD)の他、プロジェクトに存在し、有効にしてあれば、Cubic ExplorerやExplorer_a43 File managerといったフリーソフトやTotal Commanderといったシェアウェアがラジオボタンと一緒に選択肢として表示されますし、(Windows )Explorerが有効ならこれも表示され、選択すれば見慣れたデスクトップ画面になるので何れかを選択後、[Run Shell]ボタンをクリックして起動します。
WinBuilder画面右上の[Tools]では、WinBuilder用のScript作成ツールなど各種ツールがあり、[Download]では、プロジェクトで不足するファイルなどをダウンロードして現在作成中のプロジェクトに追加することが可能となっています。
作成済みPEをカスタマイズする場合は、当該作業フォルダでWinBuilder.exeを実行、一からやり直すならWinBuilder.exe以外のファイルやフォルダを削除してWinBuilder.exeを実行、プロジェクトごとや、カスタマイズ状態、VistaPEと7PEなど異なるPEを作成したい場合には、新たに作業フォルダを作成してWinBuilder.exeをコピーし、実行、ビルドすればOKです。
ISOイメージは仮想マシンでそのまま利用可能ですが、マルチセッションLiveCD/LiveDVDとしてCD/DVDへの焼く場合やマルチセッションLiveUSBとしてUSBペンドライブにインストールする場合は、別途専用ソフトウェアなどを使用します。
ただ、後述の7PEで利用したプロジェクトには、USBペンドライブにインストールするソフトウェアもありましたし、各プロジェクトでもCD/DVDライティングソフト含め、往々にして容易に追加できるようになっているようです。
今回、当サイトでVistaPEを作成するにあたっては、WinBuilderバージョン[082]、Windows Server 2008評価版のISOディスクイメージを仮想CD/DVDドライブにセットし、使用、出来上がったVistaPEのISOをVMware Playerを使って起動してみました。
ビルド時のソースとして製品版または評価版のVista/2008インストールディスク、または、ISOを使うとWindows Explorerが利用でき、これを選択すれば、[スタート]ボタン付きのデスクトップ画面を利用可能となりますが、ハードディスクにインストール済みのVistaをソースとした場合には、インストールディスクがなくても実装可能な他のエクスプローラを選択、使用するか、Vista/2008用Windows AIKをソースとした場合のWindows PE同様、コマンドプロンプトによるCUI操作となります。
OSがVistaであるPCを持っているとしてもVistaのインストールDVDを持っている人はそれほど多くないと思われる為、現実的には、たいていの場合、評価版のISOディスクイメージを使うことになるでしょう。
ネット情報でプロジェクトに『vistape.net/project』を追加するというものがありますが、WinBuilderもリリースされてから(ネット情報も情報提供してから)日が経つことから、当時有用であったものの、今では当該情報も古くなっている点に注意が必要です。
http://www.vistape.net/とは、まさに当初WinBuilderを提供してくれていたドメインであり、後にドメインが、http://winbuilder.net/及びダウンロードページ含む各種ページがhttp://reboot.pro/に移って以後、対象プロジェクトは知る限り、不明であり、そうであれば、VistaPEを作成する場合は、『vistape.net/project』ではない他のプロジェクトを選ぶ必要があります。
当サイトの検証では、『VistaPE CAPI v.12』プロジェクトで作成させて頂きましたが、数日後、7PEを作成しようと新たにフォルダを作成、WinBuilderを起動すると、VistaPE CAPI v.12プロジェクトは既にありませんでした。
一時的なことなのか、プロジェクトの開発終了時期にたまたま遭遇したのか、引き継ぎ、もしくはメインプロジェクト?としてパスが変更になったなどのレアなタイミングだったのかもしれません。
ただ、たぶんですが、vistape.winbuilder.netやwin7pe.winbuilder.netが新たに追加されたように思われました。
このようにプロジェクトがWinBuilder本家以外の有志によるものであれば、プロジェクト公開場所も有志が用意して下さっているようなので何らかの事情などにより、PE作成都度、常に同じ(名称やパスの)プロジェクトが存在し、それを利用できるとは限らないようです。
そのwin7pe.winbuilder.netプロジェクトは、検証時点では、ファイルの不足で、まずは一覧のファイルを探してきてね的なエラーが出て素直にビルドできなかったので深追いせず、他の7用プロジェクトで以前からあった(安定版)と思われるw7pese.cwcodes.netプロジェクトでやり直しました。
Windowsらしい[スタート]ボタン付きデスクトップを利用するには、やはり、製品版、または、評価版のインストールDVD、またはISOディスクイメージが必要で7PEの場合、Windows 7の他、Windows Server 2008 R2でも作成可能ですが、2008 R2は、x64のみサポートされている点に注意が必要です。
当サイトの7PE検証では、使用したPCのOSが32ビットだったこともあり、ソースとしてWindows 7のx86評価版ISOディスクイメージを使用しました。
[Minimum]を選択した今回、最後の最後、22個中21個まで処理が進んだ(21/22の)ところでGrub4Dos用のスクリプトをうまくダウンロードできなかったのか、そもそもなかったのか、これを要する旨のエラーメッセージが出力されたのでWinBuilder右上の[Download]ボタンをクリック、表示された左ペインのプロジェクトから[grub4dos.script]を探して選択、ダウンロードしたところ、あっという間に処理が完了し、自動でプロジェクトに取り込まれたようで、その後のビルドは成功しました。
検証時点では、見た目にWindows 8対応と分かるプロジェクトはなく、ネット情報を探したところ英語版Wikipediaにw8pese.cwcodes.net(w7pese.cwcodes.netベースのWin 8版)があるとあったので、WinBuilder画面の右ペインのプロジェクト選択できる個所の右横にあるサーバ追加アイコンをクリックし、w8pese.cwcodes.netを追加、左ペインで[Recommended]を選択し、[ダウンロード]しました。
一方、検証マシンは32ビットでしたが、Windows 8の評価版をダウンロードしたところ32ビット版(x86)が見当たらなかった(選択できない状態でダウンロード画面に進むと64ビット版(x64)になってしまった)為、ソースとしてWindows 8のx64(64bit)評価版ISOディスクイメージを使用することになりました。
8PE作成に当たってはファイルをコピーするだけなのでx86/x64の違いは影響ないようで難なくISOイメージは作成されました。
検証マシンが64ビット(x64)、もしくは、32ビット(x86)でも仮想化支援技術Intel VTをサポートしていれば、VMware PlayerやVirtualBoxでも64ビット(x64)ゲストOSを起動できる仕様なので難なく検証できるでしょう。
ちなみにWindows 8.1 x32(32ビット)評価版ISO(Windows 8.1は、x86/x64選択可だった)をダメ元で試してはみましたが、検証時点では、w8pese.cwcodes.netプロジェクトは、Windows 8 RTM/Release To Manufacturing(製品製造開始バージョン)をソースとして想定していることから、当然の如くエラーではじかれました。
尚、Windows 8.1(x86/x64)の内、少なくともx64に関しては、Windows Server 2012 R2(x64のみ)のインストールDVDやISOイメージを利用することもできるようになっているはずです。
w7pese.cwcodes.netプロジェクト及びw8pese.cwcodes.netプロジェクトでは、インストールDVD(または、ISOイメージ)の内容をホストOS上の任意のフォルダにコピーしたものをソースとすることが推奨されていますが、当サイトの検証では、インストールDVD用ISOイメージのまま行い、8PEについてはISOイメージ作成、7PEについては起動確認した程度においては、特に不都合はありませんでした。
今回のVistaPE/Win7PE/Win8PEの検証には、Windows Vistaプリインストールマシンを使用しました。
検証時点では、複数のWindowsバージョンに対応するものや[livexp.boot-land.net]、[win98livecd.winbuilder.net]等々といったプロジェクトも既定のプロジェクトとして利用できる状況にあります。
C/Sシステムにおける相性においてMS社における利便性の都合上、2000の改良版としてXPがリリースされるとXPはWindows 2003と、VistaはWindows 2008と、7はWindows 2008 R2とカーネルが同じである為、WinBuilderでもPE用ソースとしてVistaに2008、7に2008 R2が使えたりします。
ちなみに各種PEは、その性質上、1つのマシンで専用に使うわけではない為、アクティベーションは必要ないはずです。
尚、WinBuilderプロジェクト自体は、現時点で https://code.google.com/p/winbuilder/ にあり、そこのWikiをザッと見たところWinBuilderは、それ自体がWinBuilderスクリプト言語(The WinBuilder Scripting Language)で書かれたアプリケーションであり、追加アプリケーションもすぐに展開できるよう一時的に符号化された.scriptという拡張子から成るテキストファイルとして保持、WinBuilder内部エディタや好みの各種テキストエディタを使って編集可能となっており、このスクリプト言語を使えば、スクリプトを書いたり、ひいてはプロジェクトを作成することもできるようになっているようです。
数年ぶりにいじってみれば、リポジトリのサーバを指定してダウンロードしなくても、既知のリポジトリがあるなら、そこからプロジェクトをダウンロード、圧縮されているなら展開したフォルダ上にWinBuilder.exe入れて起動しても良いんですね。
*BSD/PC-UNIX/Linuxな自身は、そのフォルダを仮想マシン上のWindowsと共有してWinBuilder.exeを起動しているわけですが。