AudacityとUSBカセットプレイヤーでカセットテープをデジタル化してみた話。
10年くらい前から存在したらしきUSB接続可能なカセットプレイヤーSUPER USB CASSETTE CAPTURE。
パソコンに接続して録音できるソフトウェアの入力としてこれを使うとソフトウェアの性能に応じてあらゆるデジタル音源に変換できます。
例えば、SUPER USB CASSETTE CAPTUREにも付属CDが付いてきたり、付いてこないまでもオススメしている、ここで使うオープンソースのAudacityなら、MP3、WAV、OGG等々に変換できます。
単3電池2本でも駆動できますし、ACアダプタが付属しないながらもDCジャックもあるにはある、更に3.5mmイヤフォンジャックもありますが、USBケーブル(USB A-miniB)でパソコンに接続すれば、電源もとれますし、マイク・入力として音源を入力できます。
このイヤフォンジャックにヘッドホンを挿せば、再生時に聴取できるのはもちろん、録音中でも音源を聴くことができます。
尤もSUPER USB CASSETTE CAPTUREからしてみれば、何れも再生しているだけで同じことですが。
USB接続せず、電池駆動かACアダプタ接続にしてパソコンのヘッドホン・マイク入力端子と本機のイヤフォンジャックにオーディオプラグを挿すことで入力とすることもできるはずです。
これは、普通のUSB仕様じゃないイヤホンジャックのあるカセットデッキでも同じ、つまり、普通のカセットデッキとAudacityでもリッピングできるわけです。
自身もそうしていたのですが、手持ちのSONY CFS-E16が壊れたので代替品を買ったわけです。...と思ったらベルト新調したら直りました。
尚、ここでは、音源は、楽曲・音楽、基本的にシングルではなく、アルバムが収録されたカセットテープを想定しています。
Audacityは、音源の録音、再生、あらゆる編集に長けたオープンソースでWindows/Mac OS X/macOS/Linux/*BSDなどマルチプラットフォーム対応の秀逸なソフトウェアです。
これは、Debian( GNU/Linux)上のAudacity起動後の初期画面。
SUPER USB CASSETTE CAPTUREをAudacityがインストール済みのパソコンにUSB接続したら、Audacityの[録音と再生(N)]から[音声デバイス情報の再スキャン(E)]を選択。
各種操作アイコン下のマイクアイコン(横)のプルダウンを開き、[USB PnP Audio Device]を選択。
ちなみにUSBプレイヤーではないカセットプレイヤーやカセットデッキの場合、両端オスのオーディオケーブル、場合によっては、これに加え、USBオーディオアダプタを介してパソコンの3.5mmオーディオジャックに挿すことになると思われ、その場合、入力は、[default]でOKです。
が、この時、他にUSBカメラなどマイクに相当するものが既にデフォルトとして設定されている場合には、Debian(Linux)だと例えば、PulseAudio音量調節などのパネルで[代替に設定]などのボタンをクリックして、内蔵やUSBサウンドアダプタの入力がデフォルトになるようにしておく必要があります。
続いてメニューバー直下のマイクアイコンをクリック、[モニターを開始]をクリック、続いて赤丸の録音ボタンをクリックしてインジケータというかイコライザーと言うか、ステータスバーというのか、メーターが動き出せば、録音できています。
この時、録音後には修正できない音が歪む現象であるクリッピングなどの原因になるのでインジケータのバーが、最大時でも0dBを超えない程度の音量に調節しておきます。
尚、オートリバース付きのプレイヤーなら両面一気に録音でき、後で曲名を編集する際にA面B面を迷わずに済むよう、全てA面からスタートすべく巻き戻しておく方が良いと思います。
確認が終わったら、録音により波形(か[音声トラック▼]から選択・変更できるスペクトログラムまたはMulti-viewにより両方)が表示されている帯状の[音声トラック]の[X]をクリックして閉じ、改めて録音を開始すれば、新たな[音声トラック]に録音されます。
後で均一な音量にしたり、無音部分の削除などはできるので安心して、まず、ちゃんとテープや曲の先頭から録音できるようにAudacityの録音ボタンをクリックしてから、所望のカセットテープを入れたSUPER USB CASSETTE CAPTUREの[PLAY]ボタンを押します。
録音中はこんな感じ。
録音が終わったらAudacityの[ファイル(F)] => [保存(S)]から[保存(S)]や[名前を付けて保存(A)]などを選択するとアルバムや曲ではなく、Audacityプロジェクトとして保存することもできます。
あとで編集を要する場合に良いでしょう。
もちろん、プロジェクトとして保存するしないに関わらず、そのまま、[ファイル(F)] => [書き出し(E)] => [複数ファイルの書き出し(M)]や1曲ずつなら、個別にファイル形式を指定して出力することもできます。
ちなみに自身が複数のカセットをリッピングする際は、全てのカセットテープを、プロジェクトとして保存してから、後でこれらを呼び出し、[ファイル(F)] => [書き出し(E)]、全てアルバムだったので[複数ファイルの書き出し(M)]を順次行なうことにしています。
こうしてローカル、もしくは、UPnP/DLNAサーバ上に音源を保存すれば、オーディオ再生機能をもったソフトで再生することができます。
尚、録音したまま、MP3などに変換するのではなく、ある程度編集してから変換したいケースもあるでしょう。
自身の場合、リッピング、録音した後にやっていることは、おおまかに次の通りです。
トラック部分をクリック後、[Ctrl]+[a]で全トラックを選択(トラックの背景が水色に変わる)。
[エフェクト(C)] => [ノーマライズ(Z)]を選択し、ノーマライズ(≒平準化)し、全トラックに渡って音量バランスを整え、均一化します。
これにより、曲間の無音部分がはっきりするので後の工程が楽になる副次的効果もあります。
この時点で波立たず、一定区間、一直線となった無音部分に突然乱高下(ノイズ)が確認できる場合は、ドラッグ&リリース(放す)でその部分を選択し、[編集(E)] => [削除(D)]で削除できます。
ただ、誤って曲の部分を削除してしまわないようにAudacityの再生ボタン/停止ボタン、波形を拡大縮小できるプラスマイナス付き虫眼鏡ボタンを併用し、時に慎重に行ないます。
逆に無音範囲が狭い・不足していると感じたら、ドラッグ&リリース(放す)で無音部分を適当な幅選択し、[編集(E)] => [コピー(C)]、選択を解除してから、[ペーストP)]で貼り付けることで無音範囲を広げることができます。
尚、波形領域の全体、または、必要箇所を範囲選択し、[エフェクト(C)] => [ノイズの低減(N)]でノイズを減らすこともできます。
[ノーマライズ(Z)]を選択すると、このようなポップアップが表示されますが、特にこだわりがなければ、デフォルトで良いでしょう。
そこまででも良いのかもしれませんが、自身は、更に1曲毎にノーマライズすることにしています。
曲ごとの均一化、無音部分が更に明確になることで、この後の音源ファイル出力作業がやりやすくなる気がするというのもその理由の1つです。
更に前述の通り、波長の拡大・縮小は、プラス・マイナスの付いた虫眼鏡アイコンでできます。
無音部分は、時にノイズが混じり一時的に乱高下することもありますが、基本的に一直線になります。
慎重を期しつつ、ノイズが確認できる場合は、前述の手順でノイズを除去します。
明確な無音部分から次の無音部分の間が曲なのでマウスでその区間をドラッグし(左クリックしたまま引っ張り)、放すとその部分の背景が水色になります。
トラック選択はマウスでもできますが、キーボードの[Shift]+[左右矢印キー]なら、より細かく位置指定・範囲指定できるのでマウスでおおまかにキーボードで微調整すると良いでしょう。
尚、トラック選択時においては、キーボード操作だと先頭は左方向、末尾は右方向にしか調整できませんが、マウス操作なら何れもどちらにも調整できます。
調整できたら、各トラックを選択した状態で、また、[エフェクト(C)] => [ノーマライズ(Z)]を選択してノーマライズし、トラックごとの音量バランスを整え、均一化します。
ちなみに後述のようにラベルを付けた後は、ラベルをクリックするだけで各トラックを選択できるようになります。
すると、こんな感じで波形が大きくなります。
これを収録曲数分繰り返します。
録音時に入力・録音レベルが0dBを超えない程度にし、同じ設定でノーマライズしておくことで例えば別々の録音音源の全ての曲を再生した場合、無駄に曲ごとにボリューム調整しなくてはならない状況を回避できるでしょう。
[編集(E)] => [ラベル(L)]で曲を再生しながらなら[再生位置にラベルを付ける(P)]を、範囲指定するなら[選択範囲にラベルを付ける(S)]をクリックします。
すると波形の音声トラックの下に左上に[ラベルトラック]とあるトラックが現れ、左矢印-丸-右矢印が縦に串刺しになったようなマークの上にラベル名欄が、[_]となって表示されます。
左矢印-丸-右矢印の丸をドラッグすると当該マークの位置が移動、左または右矢印をドラッグすると左右に移動し、範囲指定ができるようになるので当該マークを曲の先頭か末尾に移動、右または左矢印で当該曲を範囲指定し、[_]をクリックして曲名を入力します。
この画像では、先頭、末尾ともに曲の範囲指定がちゃんとできていませんが、間が明らかに当該曲を示す音源部分の波形である無音部分と次の無音部分の間を正しく範囲指定します。
このように1曲ずつやってもよいのですが、アルバムなど複数曲がある場合、まして、それが、たくさんある場合、もう少し効率的なやり方があります。
それは、トラックを全選択([Ctrl]+[a])してから、[解析(A)] => [無音の検出(L)...]して表示されるポップアップ表示されたパネルで「無音部分がどれほどの音量(dB)以下」か、「無音部分の間隔の最小秒数」、「ラベル位置」を指定して[OK]する方法が、その1つ。
3つめはイマイチわからないのですが、最初の2つが適切であれば適切であるほど検出率が上がり、全ての曲を対象にヒットした分だけ曲の始まり部分にラベルが配置されます。
市販の収録済みカセットテープなら、普通、無音部分が一定間隔あるので、ほぼ曲数分検出されるでしょう。
自分で編集、録音したものは、適度に無音部分を入れておくことが鍵ですが、そうでなくともノーマライズすれば、音のある部分と相応に開きが出るのでかなり検出されやすくなることもあります。
もう1つ、もっと効率が良いのが、[解析(A)] => [音声の検出(O)...]で音声とありますが、声だけでなくメロディ部分も含みます。
これだと曲の範囲を検出してくれるので過不足があったら設定を再調整するか、追加・削除し、必要なら曲の先頭や末尾位置を微調整してラベルを書くだけで済みます(無音検出のように無音部から次の無音部間の曲の範囲を自分で設定する必要がありません)。
まぁ、相当数1曲ずつやって、ふー、やれやれと思ってからでないと、このありがたみは、わかりにくいかもしれませんが。
何れにせよ、この作業をしておくと、後に行うメディア情報作成時に曲名がトラック名として自動入力された状態になります。
また、まずないと思いますが、メディア情報作成時に誤認識などによる余計なトラックの検出を未然に防ぎ、そもそもラベル付けする際に不備で不要なトラックがあった場合、発見できる可能性があるという意味もあります。
編集が終わってなんらかの音源ファイルとして変換したい場合には、[ファイル(F)] => [書き出し(E)]から用途にあった書き出し方法をクリックします。
ここでは、[複数ファイルの書き出し(M)]を想定しています。
メディア情報登録用のポップアップが表示されるのでアーティスト名やアルバム名、曲のタイトルなどを登録、1曲ずつOKボタンをクリックします。
事前にラベル付けと曲名割り当てをしておけば、少し楽ができます。
複数曲が収録されたアルバムであれば、アーティスト名やアルバム名は、このメディア情報編集時、最初の1つに書けば、後は自動入力になります。
全てのトラックについて完了したら、保存先フォルダを指定、音源ファイルへの変換が行われ、アルバム名のフォルダ及びその中にプレイリストでトラックに指定した曲名をファイル名とした各音源ファイルが曲数分作成されます。
尚、アーティスト名、曲名、アルバム名などは、もちろん日本語も、また、空白もOKでスペースが入る場合は、ファイルなら拡張子まで含め、シングルクォート(')で括られます。
自身は、各種サーバ・共有機能含めRaspberry Piサーバを使ったMediaTombやMiniDLNA/ReadyMediaといったUPnP/DLNAサーバ上に音源をジャンルごとに保存してあります。
これにより、同一ネットワーク上にあるパソコン、スマホ、タブレットなどでVLCなど対応アプリによるプレイリスト保存場所の自動検索で再生することができるようになっています。
よってVPNを介して比較的安全を考慮しつつ、外出先から聴くこともできます。
その上、ラズパイスマートスピーカーにUPnP/DLNAメディア再生機能を追加のように自作ラズパイスマートスピーカーやメインPCに入れた自作スマートスピーカー機能からジャンルなどで呼びかけるか、スマートスピーカー用自作GUIパネル操作でYouTubeやICECAST/internetradio.com等々と並び、カセットだけでなく、CDリッピングしたもの含め、mplayerやmpvを介してシャッフル再生できるようにしています。
個人で音源をジャンルごとに分類するのはレコードでは無理、カセットテープに録音する際には、できなくもありませんが、大変なこと、他方、コピーや移動で済む手軽さはデジタルならではですね。
また、CDならまだしもレコードやカセットテープではできないシャッフル再生ができるのもデジタル化するメリットの1つですよね。
しかし、一方で今時、リッピングし終わってしまうと途端に使い道がなくなるカセットプレイヤーですが...。
突起部の突出具合も気になり、筐体は頑丈とも言い難いので躊躇しますし、再生可能時間もよくわからないものの、電池でも動くので機能は最小限ながら太古の昔に存在したらしいと語り継がれているウォークマンのように持ち歩くこともできます(って、ど真ん中と言ってもよい世代ですけどね)。
ACアダプタも付属せず、DC3V/500mAという謎仕様、DCジャックはただの飾りなのか、活きているのか含め、そこら辺は、リッピングに大忙しで、まだ試しておらず、なんとも...と思ったらプラグサイズが違う...径が小さい...。
ただ、冒頭のリンク先通り、実は、隣国から届いたUSBカセットプレイヤーの筐体、再生できているのも信じられないくらいの満身創痍ぶりで相談&写真数枚送ったら、あっさり再送してくれるとのことなので、まだ録音にも時間がかかりそうですし、再送品が届いたら、試してみようかと。
...と思ったら、問い合わせチャットの応答は異常なほど迅速も送る送ると口だけでCAINIAOではセラーによるPendingとなったまま、更新されず、星評価レビューが時間切れ、これはOpen Disputeをも時間切れを狙ったインチキセラーだと判断、Open Disputeしました...。
我が家の残存カセットテープ音源各ジャンルトータル1000曲以上ありました。
Open Disputeから2日後、驚くことにセラーが、商品を発送、紛争真っ最中の今日、再送品が届きました...、当然のことながら再送品は完璧に動作するので、今回に限っては、仲裁に入ったAliExpressの、ことごとくセラー贔屓としか思えない対応にも不信感を抱いたものの、仕方なくDisputeを取り消しました。