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PE / Preinstallation Environment

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PE / Preinstallation Environment

PE / Preinstallation Environment

PE / Preinstallation Environment

 PEとはPreinstallation Environmentの略称であり、Windowsのインストールを目的として開発された一部特定用途向けWindows XP/2003ベースの簡易版Windows PE 1.xにその名が付けられました。

 Windows PE 1.xは、大量にOSインストールを必要とするPCベンダや販売店、一部の大企業など極限られた環境で利用されていました。

BartPE / Windows PE / VistaPE / 7PE ...

 これに触発されたオランダ在住のBart氏が、Windows XP用にBartPEを作成する為のBart's PE Builderを開発、Windows PE(WinPE)の機能に加え、GUI操作を可能とし、XPインストールCDのカスタマイズ(機能を追加、または除外)でき、フロッピーによる起動ディスクにもとって代わるフリーソフトウェアとしてリリースしました。

 これに起因してCUIベースではあるもののカスタマイズも可能なWindows AIKで作成したVistaベースのWindows PE 2.0、Vista SP1/2008ベースのWindows PE 2.1、7/2008 R2ベースのWindows PE 3.0が、無料公開されるに至り、広く利用できるようになっています。

WAIKによるWindows PEはCUIのみ
(コマンドプロンプト)
BartPE/VistaPE/7PE...はGUIも可
BartPE
BartPE(訳あってVistaPEから起動)
より正確にはnu2menu.exeを実行
VistaPE/7PE同様Windows Explorerも可
Windows VistaPE
VistaPE
Windows 7PE/Win7PE
7PE

 一方、GUIベースでXPインストールCDをカスタマイズ出来るnLiteやVistaインストールDVDをカスタマイズ出来るvLite、更に有志によってVistaPEを作成・カスタマイズできるWinBuilderがフリーソフトウェアとしてリリースされ、後に、別途有志プロジェクトにより、XP用PEや7PEにも対応しています。

 各種PEは、BD/CD/DVD/USBメモリといったLiveメディアとして起動することが主な使い方の1つとして想定されます。

 よって仮にハードディスクに何も入っていなかったとしてもハードディスクの外からハードディスクの初期化、パーティション作成を行ってOSのインストールができることから、対象マシンにOSをインストールことも、ネットワークを介した遠隔インストールやネットブートもできます。

 各種PEは、Windowsベースなので当然FAT/NTFSの読み書きもでき、ソフト的な不具合などで仮にHDDにインストール済みのOSが起動しない状態であっても外部起動可能なレスキューメディアとして調査・検証・修復用途にも利用可能となっています。

 もちろん作成したISOディスクイメージやディスクを使い、仮想ドライブや物理ドライブを使って仮想マシンで利用することも可能(VMware Playerではすんなり利用可能、Virtual PCは未検証ですが当然可能でしょうし、VirtualBoxはやってみたものの起動まで至らずひと手間必要そう)です。

Windows PE

 Windows PE 2.0/2.1では、MS-DOS起動ディスクの代替とそれ以上の機能を持ち、外部メディアからのブート、ネットワークや外部ストレージの利用、NTFSの読み込み、Win32アプリケーションの実行などが可能ですが、一方で、.NET Frameworkの利用、Windowsインストーラに依存したアプリケーションのインストール、ファイルエクスプローラの利用などができません。

 実は、Windows PEは、Windows AIKというソフトウェアで作成するわけですが、Windows AIKも作成されたWindows PEも基本操作インタフェースはコマンドプロンプトベースのCUI、また、カスタマイズによる幅はあるものの、PE自身のイメージファイル展開の為に標準でも200MB前後書き込み可能なRAM及び、円滑に実行するに当たりメモリも512MB前後は必要となるなどの制約から実質対象マシンのスペックが限定されてしまうという面もあります。

 また、Windows AIKは、往々にして1GB以上とサイズが大きく重い為、ダウンロードにも相応の時間がかかります。

 先述のように一般公開されるに至った経緯からも積極的に無償提供を開始したわけではなさ気なWindows AIK及びWindows PEの環境については、72時間以上連続使用できないこと含め、一般に常用OSとして流用されないようにする為の海賊版対策を含めた対策でもあり、市販品への影響を抑止する当然の防衛策を施した上の有用な機能の無償提供であり、致し方なしといったところでしょう。

BartPE/VistaPE/7PE...

 一方、Windows PE以外の各種PE作成ソフトウェアは、それ自体もGUIであり、作成後の各種PEもBartPEではWindowsスタートメニュー風のオリジナルスタートメニューも使えますし、他のPE含め、Windows Explorerを利用すれば、Windowsスタートメニューも利用可能なGUI環境として利用可能です。

 Windows AIK、Bart's PE BuilderでPEを作成するにあたっては、対象WindowsのCD/DVDなどのインストールディスク、または、ディスクイメージが必須となっているようです。

 nLite/vLiteに至っては、編集可能なようにハードディスク内にこれらインストールディスク(イメージ)内容をコピーした作業用フォルダが必要となります。

 一方、WinBuilderならハードディスクにインストール済みのシステムルートフォルダからも、Windows AIKからも、カーネルが同じであることからVistaなら2008、7なら2008 R2の評価版や製品版のISOイメージまたは、インストールディスクからでも作成可能です。

 但し、WinBuilderで作成するPEでも、例えばデスクトップ環境(Windows Explorer)を利用する場合など追加するソフトウェアによっては、インストールディスク、または、インストールISOディスクイメージが必須ですし、アプリケーションによってWAIKを必要とする場合やプロジェクトによっては作業用フォルダにインストールディスク(ISOイメージ)内容をコピーすることが推奨されたり、必須である場合もあります。

アクティベーション・認証について

 各種PEは1つのマシンで常用するOSではないことから、その性質上、アクティベーションについては対象外と考えてよいでしょう。

PE作成に利用可能な評価版の試用期間について

 また、PE作成に各種Windowsバージョンの評価版を利用する場合でも必要なファイルをコピーする為に必要となるだけでインストールするわけではないのでOSとしての試用期間も関係ないと考えてよいでしょう。

備考

 XPが現役である間、セキュリティアップデートサポート期限切れ後もしばらくは、Bart PE Builderも有用ですが、Vistaや7ほか以降のWindowsにおけるレスキューをも考慮すれば、Windows AIK、または、WinBuilderでより新しいPEを作成、利用するのが得策でしょうし、この2択ならWinBuilderの方が断然使い勝手はよいでしょう。

 ただ、NTFS読み書き対応のLinuxをレスキュー用途に仕上げれば、OSに対してもより汎用的ですし、既存のリポジトリに収録されるソフトウェアだけでも十分である場合も多く、Linuxに慣れていれば、より簡単かつ柔軟にソフトウェアを組み合わせたり、軽量化を図ったりもできる為、より有用だと思われ、GUIに関してもWindowsライクなものが普及しているのでGUI操作だけなら、仮にLinuxに慣れていなくても特に困ることなく使えるでしょう。

 もちろん、もし、アンチウイルスソフトなど気になる点があれば、それらと、または、それらをインストール済みのなんらかのPEとマルチセッションにするという手もあります。

 但し、Linuxの場合、新旧や機種含めハードウェアがLinuxに対応しないといったケースの考慮は必要になる場合があります。

 各種PEにしてもLinuxにしても、また、マルチセッションにしてもLiveCDの場合は、容量調整、また、LiveCD、LiveDVDの場合は、CD/DVDドライブの有無、ドライブがある場合もメディアがCD±RW、DVD±RWそれぞれに対応可能か否か、LiveUSBの場合は、USBブート可能か、可能でない場合、CDブートからUSB起動可能か、Plop Boot Manager等で対応可能かなどハードウェアとの相性を考慮する必要もあります。

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